2015
Jul
21
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おおさかの市民パワー:サイレントボイス 声使わず伝え合う 聴覚障害者の意思疎通学ぶ 20代が設立
おおさかの市民パワー:サイレントボイス 声使わず伝え合う 聴覚障害者の意思疎通学ぶ 20代が設立(2015年7月20日配信『毎日新聞』-「大阪版」)
聴覚障害者(デフ)は、身振りや表情、行動によって意思を伝えたり、相手の意図を読み取ったりする能力にたけている。このような視覚の情報によるコミュニケーションのノウハウに着目した研修事業「デフ・コミュニケーション研修」が大阪・天満橋近くで行われている。企業や店舗、学校、医療などの現場で生かしてもらうのが狙い。20代の男女4人が2014年2月に設立した組織「Silent Voice(サイレント・ボイス)」だ。
講師は、神戸薬科大卒業の薬剤師、笠井賢一郎さん(26)。手の形と位置、表情を組み合わせ、伝えたいことを表現する達人だ。一見よく似た物も、巧みに区別して表すことができる。例えば、シャープペンシルならば、芯が伸び過ぎると折れてしまう様子を手で演技して示す。一方、ポールペンは、一度書いた文字が、消しゴムで必死に消そうとしても消えないもどかしさを表情を交えて表現する。あたかも、録音・再生の能力はないが、録画して映写する能力が高度に備わっているかのようだ。
研修の参加者は手話の知識は必要なく、手話を学ぶのを目的ともしない。グループ単位で声を使わずに、簡単な単語や文章や図形、最終的には趣味などを伝え合う。実際には、なかなか意図通りには伝わらないことを経験して、「伝えること」と「伝わること」の違いに気付いて「本当のコミュニケーションとは何か」考えてもらうのが狙いという。
「サイレント・ボイス」代表の尾中友哉さん(25)さんは、デフの両親の間に生まれたが、自身に聴覚障害はなく、音声言語のないデフの世界と、音声がある世界の双方を知る。滋賀大経済学部を卒業。あるときデフについての映画の鑑賞を通じてデフの女性1人と、手話を知る2人と知り合い、デフの能力を生かす事業を思い立った。
その後、営業の仕事で大阪市内を回っていると、やはりデフの両親を持つコンサルタントの男性と出会って意見交換するうち、デフの人たちの優れた能力の話で意気投合。意思伝達のスキルを、健常者との仕事や私生活に生かす研修の構想がかたちになった。
これまで大手企業のグループを含む約100人が研修に参加した。事務職の20代の女性は「メールに絵文字を付けるように、対話にも彩りをという講師の言葉が心に残った」と話し、老人ホームを経営する50代の男性は「学んだコミュニケーションの手段は国境を越えて使えると思った」と感想を述べたという。
尾中さんは「表情から相手が求めていることを知ったり、端的に分かりやすく説明する訓練にもなる。コミュニケーションの新しい伸びしろを見つけるために、研修を使ってほしい」と話している。
研修は原則4時間で、料金は人数などによる。
◇サイレントボイス(Silent Voice)
名称由来:音なき声。社会に知られない素晴らしいもの、の意味を込めて名付けた。
所在地:大阪市中央区天満橋京町1−27ファラン天満橋ビル7F
電話080・6137・4814
サイレントボイス➡ここをクリック(タップ)
広報Y.T
聴覚障害者(デフ)は、身振りや表情、行動によって意思を伝えたり、相手の意図を読み取ったりする能力にたけている。このような視覚の情報によるコミュニケーションのノウハウに着目した研修事業「デフ・コミュニケーション研修」が大阪・天満橋近くで行われている。企業や店舗、学校、医療などの現場で生かしてもらうのが狙い。20代の男女4人が2014年2月に設立した組織「Silent Voice(サイレント・ボイス)」だ。
講師は、神戸薬科大卒業の薬剤師、笠井賢一郎さん(26)。手の形と位置、表情を組み合わせ、伝えたいことを表現する達人だ。一見よく似た物も、巧みに区別して表すことができる。例えば、シャープペンシルならば、芯が伸び過ぎると折れてしまう様子を手で演技して示す。一方、ポールペンは、一度書いた文字が、消しゴムで必死に消そうとしても消えないもどかしさを表情を交えて表現する。あたかも、録音・再生の能力はないが、録画して映写する能力が高度に備わっているかのようだ。
研修の参加者は手話の知識は必要なく、手話を学ぶのを目的ともしない。グループ単位で声を使わずに、簡単な単語や文章や図形、最終的には趣味などを伝え合う。実際には、なかなか意図通りには伝わらないことを経験して、「伝えること」と「伝わること」の違いに気付いて「本当のコミュニケーションとは何か」考えてもらうのが狙いという。
「サイレント・ボイス」代表の尾中友哉さん(25)さんは、デフの両親の間に生まれたが、自身に聴覚障害はなく、音声言語のないデフの世界と、音声がある世界の双方を知る。滋賀大経済学部を卒業。あるときデフについての映画の鑑賞を通じてデフの女性1人と、手話を知る2人と知り合い、デフの能力を生かす事業を思い立った。
その後、営業の仕事で大阪市内を回っていると、やはりデフの両親を持つコンサルタントの男性と出会って意見交換するうち、デフの人たちの優れた能力の話で意気投合。意思伝達のスキルを、健常者との仕事や私生活に生かす研修の構想がかたちになった。
これまで大手企業のグループを含む約100人が研修に参加した。事務職の20代の女性は「メールに絵文字を付けるように、対話にも彩りをという講師の言葉が心に残った」と話し、老人ホームを経営する50代の男性は「学んだコミュニケーションの手段は国境を越えて使えると思った」と感想を述べたという。
尾中さんは「表情から相手が求めていることを知ったり、端的に分かりやすく説明する訓練にもなる。コミュニケーションの新しい伸びしろを見つけるために、研修を使ってほしい」と話している。
研修は原則4時間で、料金は人数などによる。
◇サイレントボイス(Silent Voice)
名称由来:音なき声。社会に知られない素晴らしいもの、の意味を込めて名付けた。
所在地:大阪市中央区天満橋京町1−27ファラン天満橋ビル7F
電話080・6137・4814
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