2019
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ハンセン病資料館で宮崎駿さん講演 多磨全生園前自治会長・佐川修さんしのぶ(2019年1月29日配信『東京新聞』)

佐川修さんをしのんで贈った絵「プロミンの光」について語る宮崎駿さん=東村山市の国立ハンセン病資料館で
映画監督の宮崎駿さん(78)が27日、国立ハンセン病資料館(東村山市)で講演し、昨年1月に86歳で亡くなったハンセン病療養所多磨全生園(同市)入所者自治会の佐川修前会長について「出会えたのは僕にとって、とても大事なことでした」と振り返った。
2人の出会いは、全生園の近くに住む宮崎さんが「もののけ姫」(1997年公開)を準備中の20数年前。同作にはハンセン病患者を思わせる包帯姿の病人が登場する。「武士や百姓だけではない時代劇を作ろうとしたら、ハンセン病にも向き合わなければ」と、現在の資料館の前身、高松宮記念ハンセン病資料館を訪れるうち、設立に尽力した佐川さんと知り合った。
2人は、終戦直後から使われた園内の寮舎「山吹舎」の復元(2003年)にも一緒に取り組んだ。建材にガラス戸や防腐剤を使ったことに佐川さんは「あんなに立派じゃなかった」と不満だったといい、宮崎さんは時折涙ぐみながら「最期まで言ってましたね。頑固な人だから」と笑った。亡くなる直前、病室で眠る佐川さんの手を取って「ありがとう」と声を掛けたことを振り返ると、一瞬声を詰まらせ、「大事な友人でした」と語った。
講演後、佐川さんの妻幸子さんに贈った油絵「プロミンの光」も披露した。プロミンはハンセン病を初めて治療可能にした薬で、「光が差したようだった」という佐川さんの言葉をヒントに、スタジオジブリ美術監督の吉田昇さんが描いた。今後、同資料館で展示するという。
プロミン(英語表記)Promin➡ジアミノジフェニルスルフォン誘導体に属す。一般名はグルコスルフォンナトリウム。抗酸菌,特にらい菌に有効な薬物で,ハンセン病 (らい) の各症状の緩和に役立つが,らい菌を消滅させるほどの力はない。おもにハンセン病の粘膜の障害に有効であるが,皮膚や神経の障害には作用が遅い。副作用としては溶血性貧血,メトヘモグロビン血症によるチアノーゼ,その結果としての無酸素症や食欲不振,悪心,嘔吐などの消化管障害,頭痛,不眠,視力障害などの神経症状がある(ブリタニカ国際大百科事典)。
広報Y.T