2017/10/19.Thu

【投票環境を整える】見直しと工夫を幅広く(2017年10月18日配信『福島民報』-「社説」)

 22日投票の衆院選で、投票の意思があっても投票が難しい事情を抱える人はいないだろうか。「運転免許証を返納し、投票所に行く交通手段に困っている」「投票所が統廃合され、自宅から遠くなった」「避難先の住宅の近くに投票所がない」…。

 過疎地の広がりや高齢者の増加とともに、本県は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に伴い、県内外に避難している有権者がいる。選挙制度の柔軟な運用や見直しを続ける取り組みが大切だ。

 国は昨年の参院選で全国の市町村選管委が行った有権者の移動支援の実績をまとめている。投票箱などを積んだ自動車による移動型の期日前投票所を開設したり、車いすに対応するタクシーや、保健師を同乗させた公用車を走らせたりした事例があった。県内は12市町村選管委がタクシーやバスなどを運行した。

 今回の衆院選でも県内には有権者の移動を支援している市町村選管委があり、各選管委が出す資料やホームページで知らせている。国は国政選挙、地方選挙ともに移動支援の経費を手当てする制度を設けている。公正さに配慮しながら、有権者の要望や地域の実情に見合う工夫が求められよう。また、投票所の設備や備品、代理投票や点字投票などの選挙事務の進め方を点検し、高齢者や障害者の要望に応えているかを確かめることも欠かせない。

 政見放送に手話通訳や字幕を付与できるかどうかは選挙の種類によって異なる。県選管委などによる衆院選の政見放送ビデオ学習会は4カ所で開かれ、各会場で手話通訳を付ける。点字や音声などを使って、投票日や政見放送の日程を知らせる資料と、選挙公報の内容を踏まえた「選挙のお知らせ」を点字図書館の利用登録者に配ったり、公的機関に備え付けたりもする。

 一人でも多くの有権者が選挙の情報を得られるように、今後の各種選挙で学習会の開催場所や点字版などの配布対象を増やしてほしい。政治や選挙に関わる機会を等しくする努力の積み重ねが重要だ。

 震災と原子力災害の避難が続く地域の投票率は震災前に比べて低い傾向が見られる。避難指示の解除や災害公営住宅の完成、避難先での住宅取得に伴って、有権者が暮らす場所は広範囲に及ぶ。ポスター掲示場の設置数や場所、投票所の管理運営を担う人員確保を含む選挙の執行態勢を改めて探る時期といえよう。

 地域の現状や将来の変化に幅広く対応できる特例措置などの仕組みを選挙制度に設けるべきだ。



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2017/10/19.Thu

ドキュメンタリー映画;「ことば」で感じる希望 盲ろう者の日常、優しく描く 十三で上映中(2017年10月18日配信『毎日新聞』-「大阪版」)

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ドキュメンタリー映画「もうろうを生きる」の1シーン。言葉を伝える指と指

 視覚と聴覚の障害を持つ人たちの日常生活を追ったドキュメンタリー映画「もうろうをいきる」(2017年、91分)が大阪市淀川区十三本町1の第七芸術劇場で公開されている。全国の盲ろうの8人が周囲と「ことば」でつながり、行動を広げ、希望を見いだして生きる姿を、西原孝至監督が優しく描き出す。

 宮城県石巻市の小山(おやま)賢一さん(36)。難聴で20代の時、弱視に。東日本大震災の津波で自宅を失って避難。生まれ育った地域から離れ、ある程度は一人で出歩ける「環境を失った」。家にこもる生活が続くが「出会っていない、ただ一人でいるだけの盲ろう者がいるかもしれない」と、その人たちとつながっていこうとする。仙台市の介助・通訳者らの集まりで、障害を持つ立場から支援のあり方を話す場面も。

 盲ろう者のコミュニケーション手段は、手のひらに文字を書いたり、手話に触ったり、指を点字タイプに見立てる「指点字」だったり。手と手を触れあい、思いを伝え合う。

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ドキュメンタリー映画「もうろうを生きる」の1シーン。東日本大震災で被災する前には1人で歩けた元の居住地付近を訪ねた小山賢一さん

 盲ろう者で、東京大先端科学技術研究センター教授の福島智さん(54)が登場、詩も紹介される。「ぼくが光と音を失ったとき/そこにはことばがなかった/そして世界がなかった(略)ぼくの指にきみの指が触れたとき/そこにことばが生まれた(略)ぼくが指先を通して/きみとコミュニケートするとき/そこに新たな宇宙が生まれ/ぼくは再び世界を発見した(略)」。

 宮崎県えびの市の遠目塚秀子さん(52)は2歳でろうになり、38歳の時に視力を失った。泣いて泣いて、自殺を図ったこともある。だが、地域の人の支援で買い物やウオーキングに行くようになった。コミュニケーション手段を増やそうと指点字も習っている。

 西原監督は、光と音のない世界から「指で触れあうことで世界とつながる」人たちの姿を見つめ「生きる喜びや悲しみ、人生の豊かさを今一度考えるべき時が来ている」という。

 視覚・聴覚障害に対応する「バリアフリー上映」。一般1800円など。20日まで午後1時50分、21~27日は午後2時15分から上映、その後の上映時間と終映日未定。

詳細は、七芸ホームページ➡ここをクリック(タップ)

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2017/10/18.Wed

聞こえない、は強みだ。聴覚障害者ゆえに突出した才能を伸ばし、誰もが生かし合う社会へ。「サイレントボイス」代表・尾中友哉さんインタビュー

ヘメンディンガー綾 グリーンズシニアライター

 「私らしく生きたい。自分にしかできない仕事がしたい」と、思ったことはありませんか?

 そもそも「私らしさ」って何でしょう?

 自分の「好き」を追求すれば「私らしさ」にたどり着くのでしょうか?

 今回の取材で出会った、株式会社およびNPO法人「Silent Voice(以下、サイレントボイス)」の代表・尾中友哉さんは、聴覚障害を持つご両親のもとに生まれ育ちました。

 「1歳の頃、舌を指差して『お腹が空いた』と母に伝えていたのがどうやら最初に覚えた言葉です。親とはジェスチャーで話をしていたから、4、5歳まで保育園の友だちと日本語での会話があまりできなかったんです。夢も手話で見ていたし、寝言も手話でした」と尾中さんは話します。尾中さんはまさに、手話で育った手話ネイティブ。

 ちなみに、尾中さん自身には聴覚障害がありません。健常者(聴者)の世界と、聴覚障害者が生きる“声を使わない世界”を行き来してきたユニークな体験を活かして、尾中さんはこのふたつの世界をつなぐ仕事をはじめました。それは、まさに尾中さんにしかできない仕事。今日はその活動内容をご紹介します。

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ヘメンディンガー綾さん➡大阪府出身、大阪府在住。学生時代よりカルチャー雑誌編集業務に携わっていました。このほか地域情報誌、ファッション雑誌などの立ち上げ、編集・取材・執筆を手がけた後、帰阪。結婚・出産を経て2013年よりフリーランスに。ソーシャル、アート、デザイン、暮らしの分野を中心に書籍やウェブマガジン、企業のPRリーフレットなどの編集・取材・執筆を行っている。旦那さんがセルフリノベーションした築70年の古民家で薪ストーブ生活エンジョイ中。

サイレントボイスHP➡ここをクリック(タップ)

 2017年3月29日に「大阪府言語としての手話の認識の普及及び習得の機会の確保に関する条例(いわゆる「手話言語条例」)」を公布・施行した大阪府では、2017年8月30日、同条例に基づく施策の推進にあたって、株式会社サイレントボイスと事業連携協定を締結した。
 今回の協定締結に先立ち、同社は日常会話で使える手話表現を学べる動画を制作し公開している。


手話表現を学べる動画➡ここをクリック(タップ)

【協定概要】
1.名称
  大阪府と株式会社サイレントボイスとの手話言語条例に基づく施策の推進に関する協定書
2.内容
  (1)手話言語条例第3条から第5条に基づく手話の習得の機会の確保に係る取組みに関すること
  (2)その他必要と認められる事項

大阪府手話言語条例➡ここをクリック(タップ)

 ウェブマガジンgreenz.jpを運営しているNPO法人グリーンズは、「一人ひとりが『ほしい未来』をつくる、持続可能な社会」をめざす非営利組織。

グリーンズとは(字幕付き動画)➡ここをクリック(タップ)



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2017/10/17.Tue

最近、『全盲の』と紹介されることが少なくなりました(2017年10月17日配信『新潟日報』-「日報抄」)

 スティービー・ワンダーを形容するなら、どんな言葉だろうか。米国の人気シンガー、世界的ミュージシャン、グラミー賞の常連-。説明の必要すらない大物でもあるだろう。少なくとも「視覚障害がある」と称されることはほとんどない

▼「最近、『全盲の』と紹介されることが少なくなりました」。三条市出身のシンガー・ソングライターの佐藤ひらりさん。16歳になり、今春から東京都にある筑波大付属視覚特別支援学校の高等部音楽科で学ぶ

▼母の絵美さんは、ひらりさんが赤ちゃんの頃から音の鳴るおもちゃを与えてくれた。1歳を過ぎると、おもちゃのピアノに向かい、一本指でドレミを弾いた。それから母娘二人三脚であたたかい歌を届けてきた

▼歌うステージは県内の福祉施設や学校から、東日本大震災や熊本地震の被災地へ広がる。音楽CDを3枚制作し、2013年には、米ニューヨークのブラックミュージックの殿堂・アポロシアターで歌い、ウイークリーチャンピオンを獲得した

▼今の目標と夢は、3年後に控える東京五輪・パラリンピックで国歌を斉唱すること。「国歌斉唱はもちろんだけど、安室奈美恵さんみたいにオリンピックのテーマソングも歌いたい」と夢を膨らませる

▼絵美さんが夢見るのは、聴いたファンに「佐藤ひらりの曲、いいね」と感じてもらえる未来。そんなひらりさんを応援する輪は、どんどん広がっている。新国立競技場に世界各地から集まる人々へ、心に染みる歌声を届けられるといい。

佐藤

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2017/10/17.Tue

12・2 川崎で“国内最大の手話ライブイベント”を開催(2017年10月17日配信『スポーツニッポン』)

12・2 川崎で“国内最大の手話ライブイベント”を開催(2017年10月17日配信『スポーツニッポン』)

昨年のチャリティーコンサートDIVEの模様 

 “国内最大の手話ライブイベント”「チャリティーコンサートDIVE Vol・14」が12月2日、川崎・クラブチッタで開催される。17時開演。首都圏で5カ所の自動車教習所を展開するコヤマドライビングスクールが行っているもので、今回で14回目を迎える同イベントは、これまで9000人以上が来場したほか、8割のリピーター率を誇り、今回も全国から19グループの聴覚障がい者たちが熱い思いを手話やダンスで伝える。

 同スクールでは「明るく」「おしゃれな」「女性にやさしい」教習所として業界のイメージを一新してきたほか、日本初の外国人教習公認や障がい者教習(手話や特殊装置付き車両での教習)などに取り組み、バリアフリーやエコロジーなど施設面などの対策に力を入れてきた。

 04年に同イベントが開催されたきっかけは、手話の教育に力を入れてきた同スクール5校の約120人の手話対応インストラクターたちの発案がきっかけですべての人が楽しめる手話歌やダンスステージなどで年大きな反響を呼んでいる。

 チケットは10月15日からローソンチケット、電子チケットぴあで発売を開始。料金(税込み)は前売りS席3000円、A席2500円で全席指定1ドリンク付き。

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2017/10/17.Tue

松山聾学校生徒らに防犯ホイッスルや反射材贈る(2017年10月16日配信『愛媛新聞』)

 全国地域安全運動期間(11~20日)の16日、愛媛県の松山西署と松山西地区防犯協会は、県立l山聾学校と県立みなら特別支援学校松山城北分校の生徒計80人に防犯ホイッスルや反射材、交通安全の願いを込めたヒマワリの種を贈り、犯罪被害や交通事故の防止を呼び掛けた。

 贈呈式で手話で自己紹介した西署の中尾署長は「自分のことは自分で守る、交通安全に気を付ける、ヒマワリの花の気持ちを受け継いでほしい」とあいさつした。また、9月の不審者対応訓練の時に説明していただいた『イカノオスシ』についても繰り返し説明した。

 聾学校側は、今回の贈呈をきっかけに全校で防犯の意識を高め、交通安全に気を付けていきたいと思いますとお礼を述べた。

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 『イカノオスシ』➡誘拐などから子供自身が身を守るための行動をまとめた標語。「知らない人についていかない」「他人の車にのらない」「おおごえを出す」「すぐ逃げる」「何かあったらすぐしらせる」の一部をつなげたもの。2004年に東京都と警視庁が考案。その後、全国に広まった。                

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2017/10/17.Tue

聴覚障害者の方たちの政治参加を促すために必要なことは何か(2017年10月16日配信『YAHOOニュー』)

明智カイト「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」代表

 いよいよ衆議院選挙(10月10日公示、10月22日投開票)です。今回はその一例として聴覚障害者の方たちの政治参加を促すために必要なことについて、特定非営利活動法人シアター・アクセシビリティ・ネットワーク(略称:TA-net)理事長の廣川麻子さんにお聞きしました。

 特定非営利活動法人シアター・アクセシビリティ・ネットワーク(略称:TA-net)は演劇などの舞台における情報保障(聴覚障害者向け字幕・視覚障害者向け音声ガイド・手話通訳など)の普及・促進・人材育成・提供、情報保障の調査研究・開発、情報保障の担当者・団体との連携、運営支援を行い、潜在する観劇希望者への情報提供と利用機会促進に寄与することを目的に活動しています。

 廣川さんによると聴覚障害者の方が選挙で投票する際に困っていることでは「候補者の演説の内容がわからない。これが最大の問題だ。」と言います。

 また、立候補するときに困ることについて尋ねると「手話通訳が必要だが、そのための経費を自己負担しなければならず、他の候補者に比べて資金準備の面で不利になる。」について挙げています。

 続いて、政治家になったときに困ることでは「議会開催中は、斉藤りえ北区議会議員(東京都)のように議会で文字システム導入など配慮がなされるようになったが、それ以外の活動中の手話通訳に関する費用の補償がない。そのため、ほかの議員に比べて情報収集の範囲が狭くなり、不利となる。」とのお話でした。

詳細は➡ここをクリック(タップ)

広川
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2017/10/15.Sun

漫画 波瀾万丈の人生描く 聴覚障害の久留米市・平本さん、著書出版 HPでも公開中(2017年10月14日配信『毎日新聞』-「福岡版」)

 生まれつき聴覚障害のある久留米市西町の漫画家、平本龍之介(本名・瀧本大介)さん(37)が、自らの波瀾(はらん)万丈の人生を漫画で描いた著書「ひらもとの人生道」(1400円)を出版した。平本さんは「多くの健聴者にも読んでもらい、聴覚障害者への理解を深めるきっかけにしてほしい」と話す。

 平本さんは東京都出身。約10年前、妻の実家がある久留米市に引っ越し、保険会社で事務の仕事をしている。周囲の声は雑音のようにしか聞こえないが、幼い時から唇の動きで内容を読み取る「読唇術」や発声の訓練をし、筆談、メール、手話を交えてコミュニケーションをとる。

 イラストレーターだった父の影響で漫画家になるのが夢だった。2015年7月からNPO法人川崎市ろう者協会の会報で月1回、1話16コマの漫画を連載し始めた。著書は連載した漫画計20話を解説付きで100ページにまとめた。

 著書では、読唇術では約4割の内容しか分からないため飲み会で孤独に陥った経験や、逆に全員が筆談で会話をして楽しかった送別会の思い出をつづっている。店員がマスクをしていて困ったり、海外でスマートフォンを盗まれ、警察官と探し回ったりした話も。平本さんは「透明のマスクがあるので、普及してくれたらありがたい。聴覚障害者にまずは話しかけてみて、その人に適した方法でコミュニケーションをとってほしい」という。

 漫画はホームページ(「平本龍之介」で検索)でも一般公開中だ。来年秋ごろには第2巻の出版も予定している。

内容紹介
 2015年より特定非営利活動法人川崎市ろう者協会の新聞に漫画連載開始し、20話まとめたものを単行本化。
山あり、谷あり読者の波乱万丈な人生をテーマにした自主的エッセイ!

著者について
 平本 龍之介(ひらもと りゅうのすけ)1980年、東京都生まれ。現在、福岡県在住。
難産が原因で聴覚障害者となる。イラストレーターの亡き父から絵のノウハウを教わり、6歳のとき「どんなせんせいかな?」を出版する。
 現在、特定非営利活動法人川崎市ろう者協会の新聞に月1回漫画連載、特定非営利活動法人の侍ブラザーズ デフ ジャパンの広報部長として従事。
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2017/10/14.Sat

私を見て 分け隔てしないで 障害ある女性 共生のために1票(2017年10月14日配信『東京新聞』-「夕刊」)

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介助者に支えてもらいながらバスを降りる川合千那未さん=東京都杉並区で

 今月上旬、東京都杉並区の阿佐ケ谷駅前。路線バスを待つ10人ほどの列に、電動車いすの女性の姿があった。脳性まひで手足などが不自由な川合千那未(ちなみ)さん(27)だ。

 「どちらまで?」。バスの運転手が行き先を尋ねた相手は、川合さんではなく、付き添いの介助者だった。川合さんは「私が乗るんです、私に聞いて」と叫んだが、運転手はちらっと見ただけ。再び介助者に話しかけた。

 バスに乗り込む時、停留所の屋根の支柱が邪魔になりそうだったので、「バスを少し動かして」と頼んだら、無視された。案の定、車いすが鈍い音を立てて柱にぶつかった。

 「私に意見を聞こうとしない。見た目で判断能力がないと思われる」とため息をついた。

 川合さんは、ほぼ24時間の介助を受けながら区内の賃貸マンションで一人暮らしをしている。3年前まで埼玉県寄居町の実家住まいだった。18歳の時、父親が他界したのを機に自分の将来を考えた。「施設ではなく地域で暮らしたい」。支援団体の助けを借り、3年がかりで準備した。

 自立は簡単ではなかった。まず、住む場所が見つからない。不動産業者に車いすのことを伝えると、「床が傷付く」などと難色を示された。

 一人では寝返りも打てず着替えもできない。日中と夜間の2交代で介助者を依頼するが、なかなか見つからない日もあり、綱渡りの毎日だ。人手不足感の強い介護業界の中でも、高齢者相手より障害者相手の方が単価が安く、より人が集まりにくいと聞いた。

 学生にアルバイトを頼もうと大学でビラを配り、障害者と接したことのない人の多さに驚いた。「障害者は、子どもの頃から一般の教室から消えてしまう。若い人たちは『自分と違う』と、かかわる気持ちにならないのでは」と思う。

 障害者差別解消法が昨年4月に施行されたが、多くの人にとって人ごとのままだった。3カ月後には、相模原市の知的障害者施設での大量殺傷事件が起きた。「いつかこういうことがあるのでは、と感じていた。人と人のつながりが希薄な中、異質な者はいじめや排除の標的になりやすい」

 障害者政策は進んでいるはずだし、衆院選では多くの政党や候補者が社会の改革を訴える。しかし、ますます社会から隔てられる雰囲気を感じる。「私たちの立場に立って、と要求するのはハードルが高いと思う。まずは関心を持って。ちゃんと見て」

 川合さんは、人と人を分断しない社会を目指す候補者を見極めて、1票を投じるつもりだという。
 ◇ 
 川合さんが乗った路線バスの運行会社は、本紙の取材に「乗りやすいよう、バスの位置を調整することは乗務員へ周知しているが、徹底されていなかった。障害者本人でなく、介助者に聞いてしまうケースは多いかもしれない。会社として認識し、研修などを通じて改善したい」と話した。

 <障害者差別解消法> 昨年4月に施行。国や地方自治体、民間事業者に対し、障害を理由にサービスの提供を拒否・制限することを禁じ、合理的な配慮の実施を求めている。内閣府は不当な差別の例として、学校の受験や入学を拒否することや、不動産物件を紹介しないこと、本人を無視し介助者へ話し掛けることなどを例示している。



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2017/10/14.Sat

森が火事になって動物たちが逃げ始める…(2017年10月14日配信『毎日新聞』-「余禄」)

 森が火事になって動物たちが逃げ始める。そこへ口いっぱいに水を含んだハチドリが飛んできて火に一滴の水を落とした。動物たちはそれを見て笑う。「そんなことをして何になるんだ」。ハチドリは答えた。「ぼくは自分でできることをしているんだ」

▲日本点字図書館(日点)理事長の田中徹二さんが著書「不可能を可能に」で南米のアンデスに伝わる物語に触れている。「思えば日点も、このハチドリのような人々に支えられているのです」。少額でも毎年寄付を続けてくれるたくさんの人たちがいるからだ

▲交通遺児の支援から始まった「あしなが育英会」も同じだろう。その活動は今年で50年になる。阪神大震災や東日本大震災、自死の遺児への支援も続けている

▲賛同の輪がかつて全国に広がったきっかけは交通事故で父親を失った10歳の少年が書いた作文「天国にいるおとうさま」だった。<おとうさま おとうさま もう一度「みのる」って呼んで ぼくもおとうさまと呼ぶから ぼく「はい」と返事するよ-->

▲しかし今、あしなが育英会の募金活動に参加する学生ボランティアが減ってきているという。日本点字図書館も運営費の寄付が集まりにくい。震災や豪雨災害での盛んなボランティア活動を目にする時代に、残念でならない

▲それでも一滴の水を運ぶ人は必ずいる。悲しみ、困っている人の声に耳を澄まし、自分のできることをしようと思う人たちだ。この秋、あしなが育英会の街頭募金は21日から計4日間行われる。



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学生が運営する街頭募金「あしなが学生募金」は、47年の歴史を持つ遺児支援の募金運動。毎年春と秋に4日間、全国200か所で実施し、毎回のべ1万人のボランティアスタッフの方々に支えられながら、年間約2億5千万円の寄付がある。

松山は、伊予鉄高島屋前で10月21,22日のみ実施

国内遺児の現状
①高校授業料無償化でも67%が「教育費不足」
②家計支援や弟や妹のために「進路変更」33%「進学断念」19%
③「非正規雇用」6割 「仕事のかけもち」15%
④子どもが「不登校など」3割に 親の心の状態も深刻


国内遺児の現状詳細は➡ここをクリック(タップ)

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